|
こんにちは、Nanapapaです。
今日も、最近、audiobookで聴いた本を紹介します。
(別件ですが、書評の他にも、今後は、私が暮らすタイでの10年の経験や、他の話題も書いていきたいと思います🙇♂️)
門田 隆将著『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所)です。
◾️目次
◾️本書の内容・著者紹介
本書の内容・著者紹介は、以下の通りです。
(以下は、Amazonから引用させて頂きました。)
●本書の内容
その時、日本は“三分割"されるところだった――。
「原子炉が最大の危機を迎えたあの時、私は自分と一緒に“死んでくれる"人間の顔を思い浮かべていました」。食道癌の手術を受け、その後、脳内出血で倒れることになる吉田昌郎・福島第一原発所長(当時)は、事故から1年4か月を経て、ついに沈黙を破った。覚悟の証言をおこなった吉田前所長に続いて、現場の運転員たちは堰を切ったように真実を語り始めた。
2011年3月、暴走する原子炉。現場の人間はその時、「死の淵」に立った。それは同時に、故郷福島と日本という国の「死の淵」でもあった。このままでは故郷は壊滅し、日本は「三分割」される。
使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちは、なぜ電源が喪失した放射能汚染の暗闇の中へ突入しつづけることができたのか。
「死」を覚悟した極限の場面に表われる人間の弱さと強さ、復旧への現場の執念が呼び込む「奇跡」ともいえる幸運、首相官邸の驚くべき真実……。吉田昌郎、菅直人、班目春樹、フクシマ・フィフティ、自衛隊、地元の人々など、90名以上が赤裸々に語った驚愕の真実とは。
あの時、何が起き、何を思い、人々はどう闘ったのか。ヴェールに包まれたあの未曾有の大事故を当事者たちの実名で綴った渾身のノンフィクションがついに発刊――。
●著者略歴
門田/隆将
1958(昭和33)年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広いジャンルで活躍している。『この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社)で、第19回山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
◾️自己紹介
あらためまして、こんにちは。Nanapapaです。
忘れもしない2011年3月11日、私は、自宅の横浜から栃木県小山市に出張に行っていました。
震源地からはだいぶ離れていましたが、それでも被害は免れず、その日は交通機関が麻痺していたため、電気のつかない出張先工場の寮で一夜を過ごしました。
あれから丁度10年が経過し、audiobookでこの本を特集しているのを知り、手に取ってみることにしました。
東日本大震災で命を落とされた方々に、心からご冥福をお祈りいたします。
(あまりに内容がシリアス過ぎて、書き始めたものの、しばらく完成させることができませんでした・・・)
◾️本書から得た学び
本書から得た学びは、以下の通りです。
●究極の人間の機微
本書では、例えば、福島第一原発に残るのか?それとも家族のもとへ帰るのか?、もしくは、危険を冒して放射能汚染された現場へ誰が向かうのか?といった、究極の選択を強いられる場面があります。
判断は人それぞれで、原発に残る方もいれば、家族のもとへ帰る方もいます。また、危険を冒して現場へ行くことを志願する方もいれば、志願しない方もいます。
それらは、私たちが日常的に行っている様な選択とは異なり、選択の結果としてその先には死が待っている可能性が高い、究極の選択です。
確かに、死を覚悟して原発に残ると判断した方や、現場へ向かうと志願した方の勇気は称賛に値しますし、極限の状況でも、自分の命より日本国民全員の命を考えることのできる全体最適思考は素晴らしいと思います。
しかし、原発を去ると判断した方や、現場へ行くことを志願しなかった方を責めることは、誰もできないと思います。
いざ、自分が同じ様な究極の場面に遭遇したらどのような判断をするのか?実際にその場を経験していない自分には、気安く答えることができません。
本書は、そういった究極の人間の微妙な心理を絶妙に表現しています。
●官邸は何をやってるんだ⁉︎
本書では、現場(福島第一原発)での従業員の方々の奮闘に対して、首相官邸での頓珍漢な対応や首相の失態を強調的に描いています。
本書はノンフィクションですが、読み物ですので、多少はオーバーに書かれているのではないかと思いますし、反対意見を確認して裏を取りつつ慎重にファクトチェックをする必要があると思います。
しかし、仮に本書に書かれていることが真実だとすると、本当に「官邸は何やってんだ!?」という感じです。民間企業であれば、只事では済まされないと思います。
緊急事態で、官邸と現場の情報共有が上手くいかなくなるのは想定されることなので(本来、そうならないように事前に手を打っておくべきですが)、その様な場合は一次情報を持っている現場に権限を移譲し、本部は現場の判断を優先して見守り、「いかに現場が仕事をしやすい様に支援するか?」という視点で事を進めるべきです。
また、事故発生直後に首相が現地へ乗り込んでいますが、緊急事態が発生してから72時間は人命救助が優先であり、首相は敢えて現場へ来るべきではありません。
偉い人が現場に来るとその対応に追われ、本来やるべき仕事が止ってしまいます。
●Contingency Plan(緊急時対応計画)を立てる。
日本ではBCP(Business Continuity Plan)が主流ですが、私が働いているタイでは日本よりも欧米スタイルが主流の様で、BCPよりもContingency Planの作成に力をいれています。
私が働く企業でも、ISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)やIATF16949(自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格)を取得しており、ちょうど今年監査がありました。
その中で、監査員の方から、BCPではなく、Contingency Planに関するコメントがありました。
BCPとContingency Planの違いは、BCPはどちらかといえば「緊急事態を起こさないために何をすべきか?」という点を重視しているのに対して、Contingency Planは「緊急事態が起こった時に何をすべきか?」という点を重視しています。
どちらも大事なのですが、本書で取り扱っている福島原発の事故もそうですが、どんなに予防策をとったとしても、緊急事態の発生は避けされません。
ですので、これからはContingency Planがより重要視されることになると思います。
話は変わりますが、「失敗の本質ー日本軍の組織論的研究」(戸部良一著、中公文庫)という本があります。本書の中で、日本軍の敗因は「Contingency Planが無かったこと」と書かれています。
本社や日本軍の事例のみならず、我々自身の生活の中でも様々なトラブルが起こります。トラブルが起こった時に、事前に「こういうトラブルが起こったら、こういう風に対応しよう」と、普段から考えている人とそうでない人では、実際にトラブルが起こった時にどういう結末を迎えるかは、火を見るよりも明らかです。
●ワーキングメモリー
小説を読んでいると(私の様にオーディオブックの場合は、聞いていると)、テレビドラマや映画と異なり、自分自身で本の情景や場面を想像しなければなりません。
そうすることにより、どんなメリットがあるかと言うと、ワーキングメモリーが鍛えられます。
ワーキングメモリ(Working Memory)とは認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれています。
小説を読む副次的な効果として、ワーキングメモリーが鍛えられ、脳内の作業スペースが広がり、生産性がアップします。
◾️To Do(今後、実践すべきこと)
- 自分の生活でもContingency planを意識する。
- audiobookで小説をもっと聞いて、ワーキングメモリーを鍛える。
◾️最後に
本日、紹介した内容の中から、参考になった点がが1つでもありましたら幸いです。
また、興味を持たれた方は、実際に本書を聴いて(読んで)みてください。
audiobookの聞き放題プランを30日無料でお試しできます。
ご精読ありがとうございました。