こんにちはNanapapaです。
今日は、『エスキモーに氷を売る』(ジョン・スポールストラ著、きこ書房、1320円)を紹介します。
元NBAアメリカプロバスケットボールチームのニュージャージー・ネッツの社長兼CEOが書かれたマーケティングをテーマとした本です。
魅力のない商品を、いかにセールスするか?万年最下位グループのチームを、最下位のままでトップレベルの興行収入を獲得した軌跡のマーケティング手法(ジャンプ・スタート・マーケティング)が紹介されています。
こんな方におススメ
〇実践的なマーケティングを学んでみたいと思っている方
〇マーケティングの仕事をしているが、独創的な考え方やアイデアを学びたい方
〇実務家が書いた実体験に裏打ちされたビジネス(マーケティング)本を読んでみたいという方
本書と出会ったきっかけは、『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚著、KADOKAWA出版、1958円)を読んでいたら、その中で紹介されていました。
まずは『エスキモーに氷を売る』というタイトルが面白くて興味を持ちました。更に内容を見ていくと、①(学者の方やコンサルではなく)実際に企業の運営されている実務家が書かれた本である点、②魅力のない商品を魅力のないまま、販売方法を変えて高収益を上げたという点に惹かれて読んでみたいと思いました。
私の仕事はマーケティングではありませんが、例えば、上司に企画書を通す、知り合いに何かを薦めるなど、我々の日常生活の中でもマーケティング要素は不可欠ですので、本書を読んで役に立つことは多いのではないかと思いました。
本書から得られる学び
本書で著者が伝えたかったことは、①自分を知る、②市場を知る、③イノベーションを起こすの3点です。ですので、以下では、本書から私が得た学びについて、上記項目に分けてご紹介いたします。
自分を知る
敵を商品としてアピールする逆転の発想:自分のチームが弱くスター選手がいなかったため、「うちの試合に来れば、(対戦相手のスター選手である)マイケル・ジョーダンやシャキール・オニールを見られますよ」と宣伝した結果、それまではほとんど売れなかったチケットがすべて完売した事例を紹介しています。
普通だったら、売上を上げるためにもっと商品の性能を高める努力をしそうですが、そうではなく自分たちのチームの実力はそのままで、売り込み方を変えることにより売上アップに繋げています。まさに自分を知った上での逆転の発想です。
日本も、よい製品を作れば売れる時代がありましたが、性能を上げ過ぎてガラパゴス化し、世界的な競争力を失いつつあります。これからは、発想を転換して、「同じ商品のまま、マーケティング手法を工夫して、いかに売上をアップさせるか」という思考だ大事かという点が学べます。
顧客データをとことん分析・活用する:チケット購入者情報(特に年間チケット)だけではなく、クレーム情報、ファンからのファンレター(特に子供からの手紙)など、会社に集まってくる顧客に関する情報は無数にあると思います。
著者は、この様な顧客に関する様々な情報が、いままでは宝の持ち腐れとして社内に眠っていたのを引っ張り出して、徹底的に調査・分析して、新たなマーケティング手法に繋げて、売上大幅アップを達成しました。
よくよく聞くと当たり前のことなのですが、意外と顧客データって使い倒せていない、宝の持ち腐れとなっているのではないかと思います。
自分が持っている強みをとことん分析して、使えるものはすべて使って、売り込み方を工夫する事により、売上アップへ繋げるという良い事例が紹介されています。
市場を知る
顧客の近くに行く:著者は、会社トップの立場でありながら、チケット販売や飲食物販売所などへ自ら出向いて一緒に売ってみる等、とにかく顧客の最前線に出て、お客様やスタッフの話に耳を傾けていました。製造業では、3ゲン主義(現地、現物、現実)が大事にされていますが、バスケットボールチームの運営という他業種でも、3ゲン主義の重要性は同様です。
浮世離れしない:著者は、役員専用駐車場や社用車は使わず、電車通勤していたそうです。また、自分(社長)への電話は秘書を通さずに自分で電話に出たり、時には顧客からの苦情も自分で聞いていたそうです。会社のトップというエグゼクティブだからといって、世間の一般的な感覚から話されてしまうと、顧客ニーズにあった判断をすることができなくなってしまいます。それにしても徹底しています。。
イノベーションを起こす
部下の意見は「思いつき」でいい:現場・顧客を良く知っている部下の意見は、たとえ思いつきでもOK。それを阻害してしまうと、クリエイティブは発想は出てこない。「思いつきでいうな!」と部下に注意してしまった経験のある私は、大反省です。。。
「いつもそうやってきた」は改善サイン:会社のルール・制度等について、過去の経緯や理由を部下に確認すると「うちは前からそうやってきました」「いつもそうやってきました」という発言が出た時こそ、改革・改善のチャンスです。こういった発言自体が、前例踏襲タイプ・思考停止になっており、よくよく調べると合理的な理由がなかったり、ムダが潜んでいます。
最後に
著者が大事にしているのは、①自分を知ること②市場を知ること③イノベーションの3つです。「ジャンプ・スタート・マーケティング」というネーミングは特徴的なのと、敵チームのスター選手を利用して売り込む手法など発想の面白さはありますが、その土台となるのは、基礎的なことを地道に徹底してやり切ることだと感じました。
興味を持たれた方は、ぜひ本書を買って読んでみられてください。本ブログでは、私が興味をもったトピックスだけを紹介していますので、他にも様々なアイデアを学ぶことができます。
活字が苦手な方は、オーディオブックでも販売されていますので、こちらをご覧ください。 Audiobook.jpの無料体験はこちら:オーディオブック配信サービス – audiobook.jp
ご精読ありがとうございました。
今回ご紹介した本はこちらです。