Nanapapaの耳活&タイ移住日記

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【書評】『小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』(森 健著、小学館)

こんにちは、Nanapapaです。

本日は、『小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』(森 健著、小学館)をご紹介します。

ヤマト運輸元社長・小倉昌男さんについて書かれた本です。第22回小学館ノンフィクション大賞で、賞の歴史上初めて選考委員全員が満点をつけた大賞受賞作です。

本書のはじめで「なぜ小倉さんは、突然障がい者関連に多額の寄付を始めたのか?」という問いが提示されます。本書を読み進めていくうちに徐々にその問いが意識から遠のき出した絶妙なタイミングで、最後に謎の答えが明かされます。モヤモヤしていたものが一気に腹落ちし、最後は清々しい気持ちで本書を読み(聴き)終えることができました。

 

目次

 

概要紹介(「アマゾン」より)

ヤマト「宅急便の父」が胸に秘めていた思い。2005年6月に亡くなったヤマト運輸元社長・小倉昌男。「宅急便」の生みの親であり、ビジネス界不朽のロングセラー『小倉昌男 経営学』の著者として知られる名経営者は、現役引退後、私財46億円を投じて「ヤマト福祉財団」を創設、障害者福祉に晩年を捧げた。

しかし、なぜ多額の私財を投じたのか、その理由は何も語られていなかった。取材を進めると、小倉は現役時代から「ある問題」で葛藤を抱え、それが福祉事業に乗り出した背景にあったことがわかってきた――。著者は丹念な取材で、これまで全く描かれてこなかった伝説の経営者の人物像に迫った。驚きのラストまで、息をつかせない展開。

 

 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

森/健
1968年1月29日、東京都生まれ。ジャーナリスト。92年に早稲田大学法学部卒業。在学中からライター活動をはじめ、科学雑誌総合誌の専属記者で活動。96年にフリーランスに。2012年、第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。15年、『小倉昌男 祈りと経営―ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』で第22回小学館ノンフィクション大賞受賞。

 

本書からの学び・感想

1.素敵な家族愛の物語

詳細はぜひ本書を読んでいただくか、聴いていただきたいのですが、私なりに本書を一言で表すと「素敵な家族愛の物語」です。

奥さんと娘がアル中でうつ病(当時はまたうつ病に対する研究がそれ程進んでいなかったようです)、娘がアメリカ人の黒人と結婚(今では当たり前の事ですが、当時は差別的意識が高かったようです)等と、端から見ると決して幸せな家庭とは言えないかも知れませんが、家長である小倉昌男さんの優しさと温かさに包まれた素敵な家族だと思いました。

当時の運輸省と戦うことも厭わず、物流界に革命を起こした小倉さんは、実は「気が弱く」「超愛妻家」「娘を甘やかしてしまう」といった、本書を読まないと分からなかった小倉さんの人間らしさが垣間見れ、ますます小倉さんのファンになってしまいました。

 

2.宗教を持っている人は強い

「人格者」という言葉は小倉さんの為にある言葉といっても良いほど、小倉さんは偉大な経営者であるだけでなく、偉大な人格者でもありますが、そのルーツは恐らく「宗教」にあったのではないかと思います。

小倉さんは大変経験なキリスト教徒であり、元々はプロテスタントでしたが、奥様と結婚後に奥様が信仰されていたカトリックへ改宗されたそうです。

熱心な信徒で、毎朝、奥様と一緒に協会へお祈りへ行かれ、出張で国内の地方や海外へ行かれた時にも、時間を作っては協会を回られたそうです。

ベースに宗教を持っている人は強いです。心に拠り所があり、確たる軸をもつことの強さと素晴らしさを痛感しました。

 

3.サービスが先、利益は後

「サービスが先、利益は後」。小倉さんが常日頃から言い続けていた言葉だそうです。

「そんなことは当たり前ではないか」とも思ってしまいますが、不景気で競争の激しいこの世の中、ついつい利益を優先してしまいがちです。

まずはお客様を喜ばせること、社会の役に立つこと。利益や報酬は、その先にあることを忘れないようにしなければなりません。

本書は、小倉さんや家族についてだけでなく、経営哲学についても学べます。

 

4.ニーバーの祈り

本書の最後の方で「ニーバーの祈り」について触れられていました。

ニーバーの祈りについては、デール・カーネギーを始め、メンタリストのDaigoさん、最近ベストセラーになっている石井 遼介さんの「心理的安全性のつくりかた」もニーバーの祈りの思想をベースにしているところがあるのではないかと思います。

私も大好きなフレーズなので、ぜひご紹介したいと思います。

 

神よ、

変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。

 

最後に

本日ご紹介した本はこちらです。

小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』(森 健著、小学館

 

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最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。