こんにちは、Nanapapaです。
今日は「魂の経営(古森 重隆著、東洋経済新報社)」をご紹介します。
今年(2021年)CEOから退かれましたが、日本が輩出した偉大なる経営者のひとりである元富士フィルム会長の書いた本です。
本書のタイトルの通り、気合いの込められた渾身の1冊です。
目次
内容(「BOOK」データベースより)
本業消失の危機に立ち向かえ。これは“第二の創業”だ!写真フィルム市場が10分の1に縮小する危機を、奇跡と称される事業構造の転換で乗り越えた、古森流経営改革の全貌とリーダー哲学。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
古森/重隆
富士フイルムホールディングス代表取締役会長兼CEO。1939年旧満州生まれ。63年東京大学経済学部卒業後、富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)に入社。96年~2000年富士フイルムヨーロッパ社長。2000年代表取締役社長、03年代表取締役社長兼CEOに就任。12年6月から代表取締役会長兼CEO。公益財団法人日独協会会長。日蘭協会会長。07年~08年NHK経営委員会委員長
本書からの学び・感想
1.熾烈な競争に勝ち抜くために
本書の前半では、カメラの白黒フィルム→カラーフィルム→PS版(印刷版)と売れ筋商品を変化・発展させていった富士フィルムの歴史や、世界NO.1の巨人・コダックからNO.1の座を勝ち取る熾烈な競争、全く別世界であった化粧品事業で大成功を収めた話などが、古森さん自らの力強い表現力で記されています。
「気合い」や「魂」といった力の入った表現ですので、読む方によって好き嫌いがあるかも知れませんが(私(40歳代)の子供時代は、まだこんな感じの雰囲気でしたので、違和感なく受け入れられます)。
2.後半が特に引き込まれた
本書を聴いていて引き込まれたのは後半の方でした。
前半部分で、「なんだ、聴いたことのある話ばかりだなあ」という印象を持たれた方は、後半(第三章)の「有事に際して経営者がやるべきこと」以降を聴かれると、古森イムズの真骨頂や、古森さんのバックグラウンドやルーツに触れることができます。
「まさに『魂の経営』そのものだ」と納得されることと思います。
3.有事に際して経営者がやるべき4つのこと
古森さんいわく、有事に際して経営者がやるべきことは、次の4つです。
①読む(現在と未来を)
②構想する:やるべきことを決めたら、優先順を決めて、具体的計画を立てる
③伝える:トップ自ら伝える
④実行する:トップ自ら先頭を走って実行する
古森さんは、これらの4つの中で最も重要なのは、④の「実行する」と言っています。①から③までは誰でもできますが、④実行できるかどうかで大きな差となります。
個人的には③の「トップ自ら伝える」も大事だと思います。
会社組織では、社長→役員→部長→課長といった具合にトップマネジメントからミドルマネジメントへ指示が降りていき、トップ自ら一般社員へ伝えないマネジメントスタイルもあります。
が、工夫をしないと伝言ゲームの様に、人から人へと情報が伝わっていく過程で、元々の社長の思いが正確に伝わらないリスクがあるので、大事なときにはトップ自ら伝えることが重要だと思います。
4.その他
その他、本書で気になったことやフレーズをまとめました。
・戦争経験者は気合いが違う(著者は満州で生まれ、第二次世界大戦終戦時に5歳だった)
・「負けてはならない」という思い。
・「4時間勉強しないと大学受験に合格しない」と言われた時代。
・著者は読書好き。特にミステリー小説が好きで、寝る前に読む。
・「運動する」「体を鍛える」ことも大事
・「趣味も大切に」(著者はお酒とゴルフをたしなむ)。
・普遍的な原理原則を学ぶことが重要。そうすれば、専門外の内容でも判断を誤らない。
・マッスルインテリジェンス(=直観力)が大事。幼い頃からの勉強以外の経験の積み重ねで培うことができる。もしくは、仕事を通じて培う。
・オススメの作家・本:ニーチェ、チャーチル。ジャンクリストフ、宮本武蔵(吉川英治)、三国志、十八史略
・意識を前向き、外向き、上向き
最後に
「気合い」「ガンバリズム」などどいう表現は、なかなか使われない世の中になりましたが、今後、日本が世界と伍していくための大事な要素なのかも知れません。
本日ご紹介した本はこちらです。
魂の経営(古森 重隆著、東洋経済新報社)
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